起業家として回避したいミス 9選

事業戦略・実践ヒント

起業家にとって、新しく事業を立ち上げることは、とてもワクワクする挑戦ではあります。しかし、そこには 失敗を招くような “落とし穴” がたくさんあるのも事実です。

スタートアップの成功は約束されているわけではなく、誤った行動や決定することによって 失敗へと突き進む可能性も十分にあり得ます。

本記事では、起業家が陥りやすい 9つのミス とその対処法について解説したいと思います。これで全てを解決できるわけではありませんが、あらかじめ理解して対策を講じることで、持続可能なビジネスを築ける確率はアップすると思います。それでは、早速みていきましょう!

アイデアだけで突き進む(市場調査をしない)

何か新しいことを始める時、自分のアイデアにワクワクするのは当然です。しかし、そのまま突き進む前に 一旦立ち止まり、必要十分な「市場調査」を行うことが とても大切です。例えば、

  1. 提供したい製品やサービスに対する需要がどの程度見込めるのか
  2. 競合他社がいる場合、どのようなビジネスを展開しているのか
  3. “競合他社はいない” と安易に考えていないだろうか
  4. 顧客の求めているものは何なのか
  5. そもそも “実際のニーズ” はあるのか or ありそうか

など、市場についてあらゆる角度から事前調査をしておく必要があります。

アイデアを実現する前に、十分な市場調査を怠ると、誰も求めていない製品・商品やサービスを提供することにもなりかねません。こういったことを念入りに調査・検討することにより、リスクを大幅に低減することができます。

慎重かつ現実的なプランを立て、客観的な情報に基づいた(思い込みによる楽観的発想を排除した)ビジネス戦略を作っていけるといいですね。

お金の管理を甘く見る

お金の管理は、スタートアップの起業家のみならず、ベテランの経営陣にとっても 大変難しいものです。このため、いかなる場合も「しっかりとした収支&財務計画を持つ」ことが非常に重要です。

特に、スタートアップで一番やりがちなミスは「お金の見積もりを甘く見ること」です。事業をスタートする前に、売上、経費(支出)、キャッシュフローなどの予想を立て、お金の出入りを把握しておきましょう。

売上が “開業当初から達成” できればいいのですが、実際にはそんなにうまくいかないことがほとんどです。そうなると、売上がほぼゼロにもかかわらず、開業の “初月から経費が容赦なく流出” していきます。

経費の具体例としては、材料費や商品仕入、家賃、水道光熱費、そして従業員の給与などが挙げられますが、これらの支払いがどんどん積み重なっていきますので、注意が必要です。また、経費の予想自体を甘く見ていると、想定外の大きな出費も出てくるかもしれません。

そうならないためにも、仮に売上が無くても経費をまかなえるだけの「余裕資金」を、開業前から用意しておく必要があります。もちろん、この資金は 銀行からの借入金 よりも「自己資金」でまかなう(出資金として投入など)のがベターです。

金額については、半年分の経費を賄える資金を用意しておくべきか、1年分を賄えるぐらいの資金を用意しておいた方がいいのか、慎重に見極める必要がありますので、その点も考慮に入れておくとよいですね。

価格設定を適切に行わない

あなたが提供する製品・商品やサービスの「価格設定」は、ビジネスの成功に大きく影響します。価格が高すぎれば、顧客は遠ざかっていきますし、逆に低すぎれば、利益を圧迫してしまいます。

このため、市場調査を元に 製品・商品・サービス の「価値」と「コスト」を考慮した適正な価格を設定することが重要となってきます。

また、もし今から始める事業において、同業他社がいるのであれば、綿密に “同業他社の価格調査” をしておくといいですね。

強固なチームを作らないでスタートしてしまう

起業家として成功するには、信頼できるパートナーやチームメイトが不可欠です。自分一人で全てをこなそうとすると、時間やエネルギーが足りなくなり、仕事のクオリティが下がる可能性があります。

また、一人で頑張りすぎた結果、精神的・肉体的疲労により “燃え尽き症候群” のような状態になってしまう可能性もあります。そのため、自分が得意でない領域の仕事は、それに長けたチームメイトに任せることも重要です。

なお、「信頼できるパートナーやチームメイト」とは、「出資者を複数人に増やす」というレベルにまで上げる必要はなく、「開業時に雇用する従業員(正社員・アルバイト・パート)とうまくタッグを組んで運営していく」ということでも十分だと思います。チームメイトの意見を大切に扱い、立場を尊重し、常に感謝することにより、その効果は大いに発揮されます。

… とはいえ、「チームで事業を行う」ことにより、かえって意見の対立が生じる場合もあります。また、雇用することで 人件費も大幅に増えてしまいます。このため、「一人で事業をやる方が、色んな意味で向いている」という起業家の方でしたら、逆に「単独で事業をスタート」することをおすすめします。

変化に対応しない

世の中の状況は常に変化しています。テクノロジーの進化、市場の動向、顧客のニーズなど、様々な要素が変わっていく中で、ご自身のビジネスもそれに適応していかなければなりません。

つまり、ビジネスを成功させるには、自分のアイデアや計画を常に「柔軟に見直す」ことが必要です。開業時の成功体験に引きずられて、変化のタイミングを失わないよう、気を付けたいですね。

顧客の意見を無視する

顧客の意見は、ビジネスを改善するための重要な情報源です。お客さんのフィードバック(行動に対してアドバイスや評価を行い、”改善を促す” こと)を無視することは、ビジネスの成長を妨げる可能性があります。

特に、否定的なフィードバックは改善点を示してくれる貴重な情報です。安易に「クレーマーだ」「ストレス発散の文句だ」などと片付けることなく、顧客の意見を積極的に取り入れ、サービスを改善し続けることが大切です。つまり、「フィードバックの収集と反映」です。

ただし、「嫌がらせ目的のアンチコメント」のようなケースは、もちろんスルーした方がいいので、気持ちを引きずられないよう、注意したいですね。

自分のビジネスの特長をうまく伝えられない

ご自身のビジネスが「何を提供し、それが他のビジネスと どう違うのか」を明確に伝えることが重要です。これを「バリュー・プロポジション」といいます。

これが曖昧だと、顧客はあなたのビジネスを選ぶ理由を見つけられないかもしれません。バリュー・プロポジションを明確にし、それを顧客に伝えることで、ビジネスは大きく成長します。

長期的な成長戦略がない

事業をスタートするにあたり、「短期的な成功に焦点を当てているものの、長期的な成長と規模拡大を検討していない」といった状態で見切り発車しているケースがあります。

一時的な利益だけを追求して 長期的な成長戦略 を怠ると、5年先、10年先といった「持続的な成長」が難しくなる可能性が出てきます。

また、仮に事業が成功してきても、規模拡大のための計画が準備されていないと、成長の機会を見逃してしまうことにもつながります。

「新規開拓をどのようにしていくか」、「利益をどのように再投資するか」、「企業規模をどのように大きくしていくか」など、スタートアップの時点から長期的なビジョンを持てるようにしておくといいですね。

リスクを恐れ過ぎる

起業とは、自身のアイデアを信じて多少のリスクを取ることです。リスクを取ることを恐れ過ぎてしまうと、ビジネスの成長は阻害されます。失敗を恐れるあまり、チャンスを逃してしまうこともあります。

つまり、リスクを避けるのではなく、「計算した上でのリスク」を取る勇気が必要です。ただし、これは無謀なリスクを取るという意味ではなく、「ある程度の予想が出来る範囲内でのチャレンジや投資」のことを言っていますので、誤解のないようにしてください(思慮が浅いことで生じるリスクは、失敗に直結するリスクですので、極力避けないといけません)。

例えば、「新製品を製造・販売するために、年間売上 5,000万円 の製造業者が ” 500万円 ” の工作機械を導入する」とか、「未開拓エリアに新規出店するために、同じく 年売上 5,000万円 の小売業者が ” 500万円 ” で新たに出店する」といったケースですと、「売上高の10分の1に相当する投資」というリスクを取っていますね。

これらのリスクを取ってビジネスが更に発展することも十分にあり得ますし、仮に失敗したとしても「無謀ではない範囲でのリスク」なので、それを「学びの機会」と捉えることもできます。

以上が、起業家として避けるべき9つのミスです。これらを理解し、自分のビジネスに活かすことで、成功への道を歩みやすくなるでしょう。